2023年8月26日土曜日

三浦一馬TGSコンサート

 








石田様フリークの友人と
「三浦一馬 東京グランド・ソロイスツ
プレミアムコンサート」を聴きに
勝どきにある第一生命ホールまで行ってきた。

生まれて初めて勝どき駅に降り立ち
歩いて8分、
迷子になるかと心配したが、
案外、何事もなくたどり着くことができた。
もちろん初めてのコンサートホールだ。

最近は石田様関連しかコンサートには
行っていないので、
バンドネオン奏者の三浦一馬君のコンサートは
3年ぶりぐらい。

その時は(今回も)メンバーに
石田様がいたので、
近所の友人を誘って浜離宮ホールまで
出かけたが、
コロナ禍真っただ中で
ひとつおきに売ったチケットを
なぜか後から残りも売ったらしく
4人の友人同士は2組に離れ離れになった上に
間に見知らぬ人が座るという
おかしな席になったことが思い出された。

もちろん今回はそんなことはなく
きれいな767席の中規模ホールは
ほぼ満員の観客で埋まった。

三浦一馬君は日本で有数のバンドネオン奏者で
主にアストル・ピアソラのタンゴ曲を
好んで演奏する。

石田様もピアソラの曲には
とりわけ造詣が深く、
昔からトリオ・リベルタという3人組の
トリオでピアソラ特集などを演奏してきた。

ピアソラの曲を演奏する時は
キンテートという編成で行われることが多く
バンドネオン・ヴァイオリン
ピアノ・コントラバス・ギターは必須の楽器だ。

そのキンテートという編成を組むにあたり、
ヴァイオリ二ストとして白羽の矢が立ったのが
石田様で
以来、三浦一馬率いる東京グランドソロイスツでは
ヴァイオリニストは石田様である。

TGSの他の楽器のメンバーは
ピアノの山田武彦
ギターの大坪純平
コントラバスの黒木岩寿と高橋洋太
パーカッションの石川智
(敬称略)

この通常メンバーに加え、
今回は石田組でおなじみといったメンバーが
10名も加わり、総勢17名の大所帯。

更にスペシャル・ゲストとして
はるばるアルゼンチンから駆けつけた
バンドネオンの神様
ネストル・マルコーニ氏が加わり、
バンドネオン2台の
ダブル・ソリスト版という超豪華編成だっだ。

曲はもちろんピアソラのものから始まったが、
2部の後半
三浦君とマルコーニ氏のダブル・ソリストによる
バンドネオン協奏曲「アコンカグア」の
初演‼があり、
本当にスペシャルな神回だったと言えよう。

1部はマルコーニ氏は演奏せず、
いつものように
三浦君と石田様がダブル・ソリストという形。
2列目以降に石田組のメンバーが何人もいたので
まるで三浦一馬率いるTGSと
石田組のジョイントコンサートの体。

むしろ、若い一馬君が石田様に遠慮して
石田様を立てているので、
石田様のファンとしては
いつもどおりのコンマス的石田様を
見ている感じだった。

20分の休憩後、2部が始まり、
誰もいない舞台に
マルコーニ氏が多少ふらつきながら出てきた。
御年80歳ということだが、
もっと歳なのかと思うぐらい
頼りなげな様子だ。

しかし、中央の椅子に腰かけ
膝の上に黒い布をかけ
その上にバンドネオンを置くと
演奏がいきなり始まった。

バンドネオンのソロだ。

その美しくも確実な粒立ちの音。
1部で聴いていた一馬君の音色とは
全く違う。

クリアで説得力のある美音で
右手と左手が奏でる音色が違うので、
1台なのに2台の楽器で演奏しているようだ。

会場の隅々に響き渡る
たった1台のバンドネオンの音色が
767名の観客の心を鷲づかみにしてしまった。

こんな言い方も悪いが
一馬君は優しい性格だが、滑舌が悪い。
バンドネオンの音色も
同じく優しいが滑舌が悪い。

それに比べて
マルコーニ氏の音色の豊かで確実なことと
言ったら、
バンドネオンの違いなのか、
奏者の力量の違いなのか、
驚くばかりの差に
友人と思わず顔を見合わせるほど。

石田様フリークの友人は元来、
タンゴにはさほど詳しくないせいか
「バンドネオン恐るべし、すごい楽器ね」と
感心しきりだった。

最後の曲はマルコーニ氏が
TGSのために書き下ろしたという楽曲で
こちらも初演だったのだが、
「さくらさくら」と「夕焼け小焼け」の
フレーズが時折挟まっている
いかにも外人が思い描く日本という感じで
マルコーニ氏の弟子三浦一馬君への愛情に
溢れた曲だった。

10年ぐらい前、ピアソラにハマった私は
アルゼンチンタンゴの教室に通ったことがある。
そのせいか、今回のコンサートでは
美しいタンゴのダンサーが脳裏に浮かび、
しなやかな体の線を露わにして
ずっと踊り続けていた。

1部の時はサテンの濃い緑色のドレスで
胸は深くVにカットされ、
背中も中央がウエストまで開いている。
細い紐が幾重にもクロスしてかけられ
背中の肌の色とのコントラストが美しい。

そんなドレスの女性が曲に合わせて
ステップを踏んでいるのが
ありありと見えた。

一方、
2部はビロードのような湿った黒のドレス。
踊るというよりスイングしている。
女性のアンニュイな表情までもが
手に取るようにわかる。

これが個人的な曲に対する印象そのものだが、
私は映像化できる曲こそ心に染みる名曲と
思っているので、
やはり、ピアソラの曲や
マルコーニ氏のタンゴは
名曲なのではと思っているところだ。

話が脱線してしまったが、
いつも思うが、
観客は舞台から届く調べを
それぞれ自分の感性で受け止め
酔いしれているのか、
時には眠りに落ちているのか。

きっと私みたいに映像が浮かんでくる人も
大勢いることだろう。

友人は「行ったことないけど
アルゼンチンの街並みが見えてきたわ」と
言っていた。



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