関東地方の梅雨が明けた。
梅雨らしい雨が降った記憶はないが、
「梅雨明け10日」の言葉通りの猛暑が始まった。
天気予報は
どこまでいっても晴れマークひとつなので、
意を決して、鎌倉の八幡様まで
今年も蓮の取材に出かけることにした。
例年だと、6月の梅雨入り前に出かけるのだが
今年は入院騒ぎがあり、
退院後は体調と相談しながら過ごすと決めた。
それでも、カウンセリングやパティシエ学校など
ペーパーバック版の本を抱えながら
案外、忙しい日々だった。
やはりまだまだ
重いものを持って坂道や階段を上がるのは
息が切れる。
更に熱中症にでもなったら大変だ。
猛暑の8月を家で静かに制作に充てるためには
まず、新作の原画を作成しなければならない。
そのためには新作用の蓮のスケッチに
行かなくては…。
いつもの年より、約1ヵ月遅れの源平池の蓮の花。
思わず「お~」と声をあげてしまった。
6月に見た時より、葉っぱが大きく伸び、
花も盛りを過ぎてはいるが大量に咲いている。
私が毎年、見ていた6月の蓮は、
まだ、咲き始めたところだったと判った。
このひと月で葉っぱは生い茂り
花は次々開花し、
すでに花びらの落ちた状態のものから
萎んでドライフラワーになったものまで。
まるで蓮の一生とでもいうような
さまざまな様相を呈していた。
三連休の初日ということもあり、
観光客の数も多く、
日本語以外の言葉も飛び交い
みんな一様に蓮の見事さに感嘆の声を上げ
スマホのシャッターを切っていた。
午前10時とはいえ、すでに日差しは強く、
スケッチブックを広げられるようなところは
見当たらなかったけど、
奥の政子岩の横の木陰に
おあつらえの石を見つけた。
私も写真はたくさん撮ったけど、
自分の手で描いたスケッチも欲しかったので
少しの間、そこに座って
スケッチブックを開き鉛筆を走らせた。
ちょうど木の陰になっていて、
時折、風が渡って心地よい。
脇にいる観光客の声は多少気になったけど、
帽子を目深にかぶっているので、
わざわざ描いている絵を覗き込みに来る人もなく
静かな時間が流れた。
こうして、次の作品のイメージを創る。
源平池は
源氏側と平家側に分かれていて、
藤棚のある池の周囲はベンチがいくつかあるせいで
とりわけ人が多い。
池には鯉や亀や鴨もいて、
中には鯉や亀にえさをあげている人もいる。
鯉や亀を絵に入れるという可能性はあるのか、
鴨はいけるか。
私だけ、全く別の視点で彼らを観ている。
蓮を扱いながらも、何を言いたいのか。
コンセプトを探りながら
蓮以外のモチーフを決めていく。
取材の段階ではそれは何も決まっていないので、
とりあえず、使うかもしれない子たちを
写真に撮り、脳裏に焼き付けた。
これ以上いると熱中症になりそうなので、
12時頃、取材を切り上げることにした。
帰り道、
小町通の日蔭茶屋で
「れんこん餅」と「麩饅頭」を求めた。
蓮の取材とれんこん餅。
なんだか、ぴったり。
盛夏の鎌倉。
最寄り駅まで戻って
スーパーを覗くと
「土用の丑の日」ののぼりと共に
ショーケース一面に鰻が並んでいた。
高くて手が出なかった今年も桃だが、
「丑の日セール」と銘うって
なぜか白川白桃も少しお安い。
今夜は鰻と冬瓜のスープ。
デザートは白桃で決まり。
2025年の7月。
いろいろあった上半期を思い起こした。
後半は少しは版画制作にシフトしよう。
そんなことを考えながら、
家路についた。
大相撲7日目。
さあ、今日の大の里はどうかな。
「推し」にドキドキする夕方である。
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